再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「でしたら、きっとこの世界の文字はすぐに覚えられますね」
「が、頑張ります。……あ、そういえば、この文字って世界共通なんですか?」
「それぞれの国に古代文字は存在しますが、現在この世界で主に使われている文字はこちらですね」
それを聞いて少しホッとした。
それこそ日本語のように覚える文字が大量にあったらどうしようかと思った。
私はセレストさんの書いてくれた文字をお手本に自分の名前をいくつも続けて書いていった。
(これを覚えれば、私の署名が出来るんだ)
「綺麗に書けていますね」
「ありがとうございます!」
褒められて嬉しくなる。
(なんだ。セレストさん普通に優しいし)
厳しいと聞いていたから変に身構えてしまったけれど、杞憂だったようだ。
――と、ほっとした矢先。
「後日テストをしますので、しっかり覚えてください」
「えっ」
(て、テスト!?)
なんて嫌な響きだろう。一気にプレッシャーが圧し掛かった気がした。
と、リューが小さく私に耳打ちをした。
「気を付けろコハル、こいつ間違えるとなぜ間違えたのかとネチネチネチネチ訊いて来るぞ」
「陛下。そろそろご自分の仕事に戻られてはいかがです?」
「そ、そうだな」
セレストさんの鋭い視線を受けてリューが慌てたように椅子から立ち上がった。
「頑張れよ。コハル」
ぽんと肩を叩かれて笑顔で頷く。
「はい。リューもお仕事頑張ってください」
「あぁ」
そうしてリューは図書室を出て行った。