再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

第36話


 魔王は封印しただけでその存在が消えたわけではない。
 今もこの世界の『裏側』に配下の魔物たちと共に存在しているのだ。
 そのことを思い出して背筋がぞくりとした。

「コハル様は全ての王にお会いしているのでしたね」
「え? あ、はい。一応……魔王を封印するために王の力を分けてもらう必要があったので」

 ――そう。7年前、そのために私は全ての国を訪れた。襲い来る魔物たちを撃退しながら。
 聖女の力を授かったとはいえ、本当に良く生きていられたものだと思う。

 と、メリーが何かに気付いたように声を上げた。

「コハル様はその頃、妖精王様のことは知らなかったのではなかったですか?」
「うん、その時は王の代理って人が対応してくれたの」

 でも今思えば、エルから道中知らぬ間に力を分けてもらっていたのかもしれない。
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