再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「い、いえ、先方ではちゃんと……っ」
無骨な手が伸びてきて、その石をぐいと掴んだ。
チェーンは簡単に千切れ、オフィスの床に転がり落ちたその黄金色の石を課長はダンっと革靴で踏みつけにした。
パリンっとガラスが割れたような小さな音がして、粉々になってしまったそれを私は呆然と見つめる。
「俺は部長にこの件を説明してくる。……それ、綺麗に片づけておけよ」
そうして、課長はオフィスを出て行ってしまった。
(なにこれ……)
その後、私は解雇を言い渡された。
なんともあっさりと、私は2年勤めた会社をクビになった。
いきなりの無職。
「はは、なんだこれ」
案外少なかった私物を持って帰途につきながら、思わず乾いた笑いが漏れていた。
……課長とあの後輩が不倫しているらしいと耳にしたのは、会社を出る直前だった。
スマホが振動した。
足を止め手に取って見ると、あの後輩からで。
通話に出ると、あの可愛らしい声が聞こえてきた。
「先輩今どこですか~? これからこの間言ってた合コンなんですけど~、良かったら気晴らしに来ませんか~?」
なんかもう本当に笑えてきて、私はそれに参加することにした。
こうなったらもう、思いっきり飲みたい気分だった。