再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 大きな窓の方へと足を進めてその綺麗な景色を眺める。
 この美しく幻想的な世界にも、国同士の争い「戦争」が存在するのだ。

 竜帝妃になるということは、この国をリューと共に守る立場になるということ。
 例えば『花の国』や『妖精の国』と戦争になれば、ティーアやエルと敵対しなければならなくなる。

(そんなの、絶対に嫌だ!)

 ふたりと争うなんて考えたくもなかった。

 ……ティーアもエルも、私が竜帝妃になるかもしれないと知って本当はどう思ったのだろう。

 そして、私が国の力になるという話。
 そう聞いても未だに全然実感がわかないけれど。

(リューも、この国のために私を選んだのかな……?)

 そう思ったら、なんだか胃の辺りがすうっと冷たくなった気がした。

(ううん、それはない)

 ぶんぶんと首を振る。
 リューの気持ちは、この数日間一緒に過ごした自分が一番わかっているはず。
 この国のためという気持ちも、もしかしたら少しはあるかもしれないけれど、それ以上に私を想ってこの世界に喚んでくれたのだと……そう、信じたい。

(だよね? リュー……)

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