再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「え?」
「メリーは聞いてはダメなのでしょうか……?」
メリーがしょんぼりした顔で私を見上げた。
『 あ、メリーは一緒にいて大丈夫よ 』
まるでメリーの反応がわかっていたかのようなティーアの言葉に、メリーの顔がぱーと輝いた。
良かったねと言いながら、少しの緊張を覚える。
(私とメリーだけに聞かせたい話って、なんだろう……)
『 実は、コハルがこの花の国を発ったその日の夜、何者かによって聖殿が破壊されてしまって 』
「え?」
――聖殿が、破壊……?
聖殿……聖女召喚のための魔法陣がある、あの石造りの建物だ。
『 召喚の間も酷い有様で……ごめんなさい。とても言い辛いのだけど、コハルを向こうの世界に帰してあげられなくなってしまったの 』
自分の喉から声にならない声が漏れた。
『 召喚の間を作り直しても、もう一度コハルのいた世界に繋がるかどうかわからなくて……こんなことになってしまって本当にごめんなさい 』
ティーアの声が少し震えていた。