再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「俺は国同士で争っていた時代のことは知らないが、魔王との戦いで争いの悲惨さは知っている。俺が竜帝でいる間はこの国で争いなど絶対に起こさないつもりだ」
そうして彼は優しく微笑んだ。
「だから安心していい」
(リュー……)
彼が、心底から私を安心させようとしてくれているのがわかる。
「どうだ、少しは元気が出たか?」
「はい。ありがとうございます」
笑顔で言うと、彼はもう一度私を抱きしめた。
「今日も抱きたい」
「――っ」
「と思っていたが、やめておこう」
髪を撫でられて、胸がきゅうと苦しくなる。
「さぁ、寝るか。明日もセレストの授業はあるだろうからな。しかし、またキツイことを言われたらすぐに俺に言え。あいつは加減というものを知らないからな」
「はい」
ふふと小さく笑いながら頷くと、彼は私の額にキスをくれた。
「おやすみ、コハル」
「おやすみなさい、リュー」
――やっぱり、この優しい人が聖殿を壊すなんて酷いことするはずがない。
わかっているのに、本当のことを言えずにいる自分が嫌で苦しくてたまらなかった。