再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 と、ローサがとても優しい目をして続けた。

「コハル様がこの城に来てくださって本当に良かったと私共使用人皆そう思っております」
「え……?」
「ですから、陛下のためにも、私共のためにも、早く良くなってくださいませね」

 熱のせいか、鼻の奥がつんとして涙が出そうになってしまった。

「うん……ありがとう」
「コハルさま~~!」
 
 そのときバンと勢いよく内扉が開かれてメリーが飛び込んできた。

「大丈夫なのですか!? お庭を散歩していたらコハル様が倒れられたと聞いてすっ飛んで来ました!」

 メリーが泣きそうな顔で私の枕元に降り立って私はそのもこもこを優しく撫でた。

「大丈夫。ちょっと熱が出ちゃっただけ。というか倒れてなんてないし、なんか大事になってない?」

 熱のせいとは違う冷や汗が出てきた。

「大事にもなりますわ。コハル様はこの国にとって大事なお方なのですから」
「その通りなのです! 熱が下がるかわかりませんが、メリーがすぐに癒してさしあげます~!」

 そうしてメリーに癒しの魔法を掛けてもらうと大分気分が楽になって、それから眠気がやってきた。
 やはり昨夜は眠りが浅かったのかもしれない。
 それに皆の優しさに触れて、昨日までの不安が大分和らいだ気がした。

 向こうの世界には帰れなくなってしまったけれど、此処にはリューやメリー、セレストさんやローサたちが居てくれる。
 このあったかい場所でなら、きっと大丈夫。――そう思うことが出来た。

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