再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
するとそんな私の反応を見てリューは慌てたように続けた。
「あ、いや、勿論、本当は戻って欲しくなんてない。ずっとこの世界に、俺の傍に居て欲しい。……だが、コハルに辛い思いをさせてまでここに居て欲しいとは思わない」
そうして彼は膝の上で強く拳を握った。
リューは多分、私が先日塔の部屋で言ったことを気にしているのだろう。
でも私は全く別のことを考えていた。
(やっぱり、聖殿を破壊したのはリューじゃない)
もしリューだったならこの場で「戻ってもいい」なんて言葉が出るはずない。
と、リューは良いことを思いついたという顔で私を見た。
「そうだ。例えば、こちらの生活に慣れるまでこちらと向こうの世界を行き来するというのはどうだろうか」
「そんなの、ティーアが困ってしまいますよ……っ」
苦笑しながら、先ほどローサの前では堪えた涙がとうとう零れてしまった。