再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 ――そうだ。
 自分のことばかり考えて、その可能性を考えていなかった。
 魔王が封印されてから各地で再び争いが起き始めているという事実。
 ティーアの治める『花の王国』は花と緑に溢れ美しく穏やかで戦争のイメージからかけ離れているけれど、例外ではないのだとしたら。

 破壊されたという聖殿はティーアの住まう花の城の敷地内にある。
 花の王国だってきっと大変な騒ぎになっているだろうに、友人は私を心配する手紙を送ってくれたのだ。

(なのに私は自分のことばっかり……最低だ)

 またも自己嫌悪で落ち込む。
 そして同時にティーアのことが心配になった。

「リュー、私」
「ダメだ」

 何か言う前にダメだと言われて目を瞬く。

「花の王国の様子が気になるのだろう。だが行かせないぞ」

 まさに今、花の王国に行きたいと言おうとしたところだった。
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