再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「聖女様!」
そのとき庭園の向こうから麦わら帽を手にしたベルデさんが慌てたように駆け寄ってきて、メリーがぴゃっと私の後ろに隠れた。
「ベルデさん、おはようございます」
「おはようございます。もうお身体はよろしいのですか?」
「はい、もうすっかり。ご心配をおかけしました」
そういえば私が熱を出したことが結構大事になっているのだと思い出して私は頭を下げる。
するとベルデさんはほっとした様子で人懐っこい笑みを浮かべた。
「それは良かった。丁度、聖女様にお礼を申し上げたいと思っていたのです」
「お礼?」
首を傾げると彼は笑顔で続けた。
「陛下がこの庭園にもっと花を増やすようにと指示を出してくださったのです。庭師も近く増えることになりまして。これも聖女様が陛下に進言してくださったお蔭です。本当にありがとうございます」
そうしてベルデさんは丁寧に頭を下げた。