再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
――そんな彼が、だ。
「我が国を助けて頂きたいのです」
そう告げたカネラ王子を私は呆然と見つめる。
(助けてって……)
彼が己の国のために助けを請うなんて、7年前の彼を思うと俄かには信じられなかった。
でもそこで私は先日の会議の内容を思い出す。
砂漠の国で今争いが頻発しているという話。
見ればリューの顔つきも険しいものになっていて。
カネラ王子が真剣な眼差しで続ける。
「現在、我が国は正体不明の敵から攻撃を受けております」
「正体不明?」
リューが思わずというふうに声を上げた。
「はい。当初は、かの国がまたちょっかいを掛けてきたのかと皆思っておりました。しかし、どうもそうではなさそうなのです」
(かの国?)
どこの国のことだろうと気にはなったけれど、今は訊ける雰囲気でない。
「というと……?」
そこでカネラ王子はふっと目を伏せた。
「敵方に魔族がいたと申す者がおります」
「!?」
リューが息を呑んだのがわかった。