再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
(魔物、じゃなくて『魔族』?)
この世界で初めて聞く言葉だった。
魔物は魔王の配下であり、7年前嫌というほど目にし戦った相手だ。
その姿は様々だったけれど、大抵は見てすぐに魔物とわかる恐ろしい姿をしていた。
でも、『魔族』って……?
「それで、ここに来たというわけか……」
(え?)
リューが、隣にいる私が辛うじて聞こえるような小さな声で呟いた。
でもその後カネラ王子にはっきりとした声で告げた。
「わかった。竜の帝国として出来る限りのことはしよう」
「! 有難うございます!」
カネラ王子が勢いよく顔を上げ、私もそれを聞いてほっとする。
「――ただ、」
そこでリューの声がぐっと低くなった。
「コハルがそちらの国に赴くことはない」
「!」
カネラ王子が目を見開き、私は驚きリューを見つめた。
「……承知、しました」
「詳しい状況が知りたい。改めて場を設けるので少し時間をくれ」
それからリューはセレストさんを呼び、大臣たちに緊急招集をかけ、その間カネラ王子をもてなすようにと指示していた。
そしてカネラ王子はもう一度深く頭を下げ、セレストさんと共に謁見の間を出て行った。