再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
リューがふぅと長い溜息をつきながら目を閉じる。
「リュー、魔族って?」
訊きたいことは色々とあったけれど、その中でも一番気になった言葉を口にする。
すると彼はなぜか驚いたようにびくりと肩を震わせ私を見た。
「……コハルは、知らなかったか」
「魔物はわかりますが……どう違うんです?」
するとリューは私からゆっくりと視線を外し、淡々とした口調で教えてくれた。
「魔族とは、魔物の血を引く者たちのことだ」
「魔物の血を?」
「魔物の中には高い知能を持ち、人と似た姿を取る者もいる」
私は頷く。魔王がそうだった。
その恐ろしいほどに美しい姿は今でも脳裏に焼き付いている。
「そんな魔物と人との間に生まれた者、そしてその一族が『魔族』だ」
「! その人たちは今どこに?」
魔王も魔物たちも私が封印し今この世界の裏側にある『魔界』に存在している。
なら、その血を引く魔族たちは今どこにいるのだろう。――そう、単純な疑問だった。
「特に決まった場所はない。その姿は人と殆ど変わりないからな。どこにでもいる」
そして、彼は静かに続けた。
「――俺も、魔族だからな」