再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「王様と王妃様はお元気でいらっしゃいますか?」
7年前にお会いした砂漠の国の王様と王妃様を思い浮かべながら訊ねる。
王様は王子と同じ金髪で恰幅が良く豪快に笑う方で、王妃様は上品でとても綺麗な方だった。
「はい、お蔭様で」
「それは良かったです」
「聖女様がこちらの世界に戻られたと聞き、またお会いしたいと申しておりました」
「そ、そうですか」
私もまたお会いしたいです。そう答えたかったけれど。
――コハルがそちらの国に赴くことはない。
先ほどのリューの言葉を思い出して曖昧に微笑むことしかできなかった。――と。
「コハル様、陛下が執務室でお待ちでございますよ」
セレストさんが助け船を出してくれたのだとわかった。
「あ、はい。カネラ王子、今夜はゆっくり身体を休めてくださいね」
「はい、そうさせていただきます」
そうして私はその場を離れた。
(やっぱり、なんか調子狂うんだよなぁ……)
元々調子を狂わされる人ではあったけれど、どうしても違和感が消えなかった。