再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 そのまま私のいる窓際にやってきて、先ほどの私のように外の花壇の方を眺めた。

「とにかく、砂漠の国としては君に来て欲しいんだ。王もまた君に会いたがってる。改めてあの時のお礼がしたいみたい。ほら、君は魔王を封印して、そのまますぐに帰ってしまっただろう?」

 視線がこちらに戻ってきて、今度は私が彼を見上げるかたちになる。

「いえ、お礼なんてそんな……」
「ぶっちゃけさ、王はあの頃君のことをあまり信用していなかったんだよ」

 ……それは、流石にぶっちゃけ過ぎじゃないだろうか。こっちが心配になってしまう。
 でも、まぁそうだろうなと特に驚きはなかった。
 私自身あの頃は自分がまさか本当に魔王を封印出来るなんて思っていなかったのだから。

「でも今回は違う。君に……聖女サマに本気で助けを求めてる。虫がいいと思われるかもしれないけどね」

 口調はあの頃と変わらず気怠げだけれど、こちらを見つめるその瞳は確かに真剣みを帯びていて。
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