再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
(やっぱりカネラ王子、変わったなぁ)
少なくとも今目の前にいる彼は、あの頃の何に対しても関心のなかった彼とは違う。
今、彼は自分の国のためにここに……私の前にいるのだ。
「だから、聖女サマ。砂漠の国を助けてもらえないですか」
そして彼はもう一度コテンと首を傾げた。
――こんなふうに頼られて、必要とされて、NOと言えていたら多分私はこの世界で聖女になんてなっていない。
「護衛をつける。これは譲れない」
「はい」
「どうせあの妖精は一緒にくっついて行くんだろうからな。少しでも疲れが出たらすぐに癒してもらえ」
「はい」
「絶対にひとりでは行動するな。それと、あの王子とふたりきりにはなるな」
「はい」
明日、急遽カネラ王子と共にこの城を出て砂漠の国へ赴くことになった私。
皆に手伝ってもらいながらバタバタと準備を整え、漸く寝るばかりになって寝室に入れば待っていたのはリューの長々とした話だった。