再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
そして、いよいよ出立のときが来た。
(こういう格好懐かしいな)
用意された服装は流石にドレスではなく、動きやすく露出の少ないパンツスタイルだった。
7年前もこんな格好でこの世界を旅したのだ。
ドレスより断然馴染みのある服装に少し心が浮き立つ。
(これなら自分で着替えられるし!)
自室の姿見で可笑しなところがないか最終確認をして、よしと頷く。
「じゃあ行こうか、メリー」
「はい!」
最低限の持ち物を入れたバッグを手にエントランスへと向かう。
しかしエントランスが見えてきたところで私の足はぴたり止まった。
(ひぇっ)
私の見送りのためだろう、城の皆がずらりと並んでいたのだ。
こんなに大勢が集まっているのを見るのは、リューと共にこの城に足を踏み入れ大歓迎を受けたあの時以来だ。
メリーも人の多さにびっくりしたのだろう私の背後にささっと隠れてしまった。
(そっか、あのときメリーは寝てたんだっけ)
こういう待遇は未だに慣れないなぁと思いながら大きな扉の前で待っているリューの元へと足早に向かう。
カネラ王子はこの場にはいない。城の外で待っているのだろうか。
「お待たせしました」
私がそうリューに声を掛けた途端。
あの時のように一番手前にいたセレストさんが恭しく頭を垂れた。
「コハル様、いってらっしゃいませ。我ら一同コハル様の無事のお帰りをお待ちしております」
「いってらっしゃいませ!」
「いってらっしゃいませ!」
「いってらっしゃいませ!」
「い、行ってきます」
久しぶりに聞いたその大合唱にメリーは私の背後で文字通り飛び上がって驚き、私も若干顔が引きつってしまうのを感じながらぺこりと頭を下げたのだった。