再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「結構人数いるけど!?」
「大丈夫なのでしょうか……」
メリーも怯えた様子で私の方に飛んできた。
魔王が封印されて世界が平和になってもああいう輩はいるのだ。そのことに少しショックを受ける。
何かローサが賊たちと話しているけど、ここからではよく聞こえない。
(最悪、私の聖女の力で)
ぐっと拳に力をこめたそのとき、様々な武器を手にした賊たちが一斉にローサに飛びかかってきた。
「――っ!」
息を呑み、でも次の瞬間私は大きく目を見開いていた。
竜騎士のローサはとんでもなく強かった。
細身の長剣を鮮やかに扱いバッタバッタと襲い来る賊の男たちを倒していく。その姿はまるで優雅に踊っているようにも見えた。
最初の5人ほどを倒したあたりで、残りの賊たちはじりじりとローサから後退りし、とうとう全員蜘蛛の子を散らすように去って行ってしまった。
その一部始終をぽかんと眺めていると、ローサは剣を柄に納め駆け足でこちらに戻ってきた。
扉を開けて、彼女は先ほどと同じ笑顔を見せてくれた。
「お待たせしました。すぐに出発いたします」
「あ、うん。ありがとう。怪我とかない?」
「平気でございます」
そうして扉は閉まり、間もなくして馬車は再び動き出した。
「頼もしい護衛だね」
「……はい」
カネラ王子の言葉に私はまだ呆然としたまま頷いたのだった。