再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。


 それから馬車は人で賑わう港町を通り、船がたくさん停泊する港に到着した。
 がちゃりとローサが馬車の扉を開けると、ふわっと潮の香りが入ってきた。

「コハル様、カネラ殿下、メリー様、お疲れ様でした。港に到着いたしました」

 カネラ王子に続いてすでに眠そうなメリーを抱っこしながら馬車から下りる。
 目の前にはキラキラと輝く大海。私はその心地よい潮風を思いっきり吸い込んだ。
 と、カネラ王子が停泊する船の中で一際大きな帆船の方に視線を向けた。

「じゃあ俺ちょっと声かけて来るから」

 そうして王子はその大きな帆船の方へと駆けて行く。
 あれが彼が乗ってきた砂漠の国の船なのだろう。

(あれに乗っていくのか……何日くらいかかるんだろう)

 帆船を見上げながら知らず胃の辺りをさすっていた。
 でも確か、砂漠の国と竜の国は海を挟んでお隣同士だったはず。
 馬車の御者さんにお礼をして見送った後でローサに訊ねる。

「ローサ、砂漠の国までどのくらいかかりそう?」
「5日ほどかと」
「5日……」

 思わずそんな情けない声が漏れてしまっていた。
 と、そのときだ。

「あぁ、コハルは船酔いするんだったな」
「え?」

 そんな声が聞こえて後ろを振り向く。が、誰もいない。

「こっちだ、こっち」

 服の裾をくいを引っ張られて下方に視線を落とすと、そこにはひとりの少年がいた。

 ――え?

 こちらを見上げる金の瞳には、とても見覚えがあって。

「道中問題なかったか? コハル」

 にっと笑ったその少年を見て、私はあんぐりと口を開けた。

(りゅ、リュー皇子……!!?)

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