再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「そうだ。兄上によく似ているだろう?」

 腰に手を当て胸を張る彼。
 ローサは彼の顔をまじまじと見てから戸惑うように続けた。

「で、ですが、陛下に弟君がいるなど、わたくし初耳なのですが」

(私も。というか、どう見てもリュー本人)

 それとも私が知らないだけで、本当にリューの弟なのだろうか……?
 確かに、リューが急に小さくなって現れたと考えるより現実的ではあるけれど。

「コハル様は御存知でしたか?」
「えっ」

 ローサに訊かれて焦る。

「え、えーっと、」

 もう一度ゆっくりと視線を下げ彼を見る。
 すると彼は私の服の裾を掴み、不貞腐れたような顔で言った。

「コハルは俺のこと覚えてるよな?」

 ――あ、これ絶対リューだ。

 その表情と物言いで確信する。

 おそらく彼は誰にも伝えず勝手にお城を抜け出してきたのだ。
 その手前、ローサには弟ということにしておきたいのだろう。
 身体が小さいのは、きっと何かそういう魔法を使ったのだ。多分。
 向こうの世界ではあり得ない、こんなとんでもないことが起きるのがこの世界だった。
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