再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「それで、皇子はどうしてここに? あ、もう皇子じゃないですね。皇弟、になるのかな……えっと、なんとお呼びすれば?」
「皇子でいい。ここへは兄上に頼まれて来た。俺も共に『砂漠の国』へ行くぞ」
「は?」
思わず素の声が出てしまった。
「は? じゃない。俺も共に行くと言っているんだ」
「い、いやいやいや、マズいでしょうそれは!」
途中からローサには聞こえないように声を潜め言う。
「何日かかると思ってるんですか!」
どんなに短くてもおそらく半月はかかる。
国のトップがそんなに長く城を空けるなんて流石にダメだろう。
「セレストにはちゃんと書き置きしてきたから平気だぞ」
「書き置きって、」
それじゃあやっぱり勝手に抜け出してきたってことじゃないですかと続けようとして。
「お待たせ~。すぐに出発する――って、え? なに、その子」
駆け足で戻ってきたカネラ王子がそう言ってリューを指差した。
「え、え~っと」
彼にはなんて説明すればよいのだろう。
なんだかもう頭がいっぱいいっぱいになってきた。