再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「本来の姿にも戻れるぞ。そら」

 言うや否や、目の前の少年が急に大人の姿に成長してびっくりする。

「コハルはどっちの俺がいい?」

 目線の高くなった彼に艶っぽい目つきで見つめられてドキっと……してる場合ではない。

「誰かに見られたらどうするんですか!? すぐに戻ってください!」
「そうか?」

 少し残念そうに再び少年の姿に変化した彼は自分の姿を見下ろしながら言った。

「まぁこの姿なら俺が竜帝だとはバレないだろうからな。これで一番側でコハルを守れる」

(うぐ……っ)

 こちらを見上げ、にっと笑った彼に不覚にも胸がきゅんとしてしまった。
 7年前リュー皇子がこんなふうに笑うことは滅多になくて、だからその分たまに見せてくれる笑顔の破壊力は半端なかった。

(でも、いま中身は大人のリューなんだし)

「守るって、そのためにお城を出てきたんですか?」
「ああ。やはり心配だったのでな」

 はぁと溜息を吐く。
 心配してくれるのは有難いし、リューが傍に居てくれたら確かにとても心強い。
 でも、どうしても素直に喜べない。

(きっと今頃お城は大変なことになってるだろうし……)
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