再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「大丈夫か、コハル」
「は、はい」
しかしすぐに次の揺れが来て、私は危うくソファから滑り落ちそうになったメリーを膝の上に抱っこした。
「やはり結構揺れるな」
言いながら、リューは難なく小窓の方へと歩いて行き、そこからもう暗い海を覗き込んだ。
(そうだった。これから数日間この揺れと付き合わなくちゃいけないんだ)
思い出したかのように胃がムカムカとしてくる。
マズイ。船酔いしたら癒しの魔法をかけてもらおうと思っていたメリーはぐっすりお休み中。きっと朝まで起きてはくれないだろう。
「ごめんなさい。リュー」
「コハル?」
「私、やっぱり、ダメそうです……」
そう言い残し、私はメリーを抱き枕にしてソファに倒れ込んだ。
リューの心配そうな声が聞こえたけれど、私は全ての感覚をシャットアウトするため無理やり眠りに入ったのだった。
そして。
「なぁーーーー!?」
間近で聞こえたそんな大声で私は深い眠りから引きずり出された。
「な、なな、なっ、な」
「メリー……?」
壊れた目覚まし時計のような妙な声は確かにメリーで、どうしたのだろうと起き上がろうとして自分がハンモックに寝かされていることに気付いた。
昨夜、眠ってしまった私をリューが運んでくれたのだろうか。