再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
顔を上げ周囲を見回すと、そこは狭いワンルームではなく、だだっ広く眩しい豪華絢爛な部屋で。
大きな掃き出し窓に取り付けられたレースカーテンがふわりと揺れる度、なんとも良い花の香りが入ってくる。
「ここって……」
「あぁーー! コハルさま~お目覚めですか~~!?」
「メリー!?」
その大きな窓からカーテンを押しのけるようにして中に入ってきたのは、もこもこの妖精メリーだった。
メリーはそのまま私の胸にぼすんっと飛び込んできた。
「良かったです~! お身体はもう平気ですか? もう一度癒してさしあげますか?」
「え、えっと」
今いち状況が掴めなかったけれど、とりあえずここがティーアの城であることはわかった。
もう一度、ということは一度メリーが私に癒しの魔法をかけてくれたということだ。
確かに昨夜あんなに呑んだのに頭もすっきりしているし胃も全然もたれていない。
(昨夜……?)
そういえば、ここと日本とでは時差があったはずだ。
「え、私どのくらい寝てたの?」
「コハルさまがこちらに戻って来られたのが今朝で、今は昼過ぎです~」
それを聞いて少しほっとする。思ったほど長くは寝ていなかったようだ。
ベッド脇の椅子に私のトートバッグが置かれていて、でも会社から持ち帰ってきた荷物を駅のロッカーに預けたままなことを思い出す。
(追加料金、確実……)
と、そのときトントンとノックの音が聞こえた。
「あ、はい」
「コハル、良かった。目が覚めたのね」
「ティーア」
入ってきたのはほっとしたような表情を浮かべたティーアだった。
「ごめんね、なんか迷惑かけちゃって」
「いいえ、気分はどう? 今水を……」