再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
船内で寝るときは基本ハンモック。これは7年前に得た知識だ。
普通のベッドや床で寝ていたら大きな揺れが来た時に転がってしまって危ないからだ。
小さな窓からは淡く光が差していて、夜が明けたのだとわかった。
と、メリーは私のお腹あたりからぴょーんと空中に飛び上がると、私の隣をびしっと指した。
「なんでこいつがいるのですかーー!?」
そこにはうずくまるようにして小さなリューが眠っていて、私は漸く理解する。
(やっぱ即バレだよね……)
と、もぞもぞとリューが動き出した。
「うるさい……コハルが起きてしまうだろう」
そう言いながら金の瞳がゆっくりと開いて、私を見た。
「ああ、コハル。起きていたか。具合はどうだ?」
「すみません、運んでくれたんですね」
「一度元の姿に戻ってな。おはよう、コハル」
そうしておでこに優しくキスを落とされて、何とも言えない気持ちになる。
「……その姿で、こういうのは止めてください」
「なんでだ?」
「なんでって……」
「おいこら無視するな! どういうことだって訊いてんだ!!」
「貴様の魔法でコハルの船酔いをどうにか出来ないのか?」
「え?」
顔を真っ赤にして憤慨していたメリーがリューのその言葉で我に返ったように私の方を見た。
「船酔い、ですか?」
「そうなの。メリー、お願いしてもいい?」
「お、お安い御用なのですコハルさまー!」
とりあえずメリーの怒りは治まったようで、私はほっとした。