再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第55話
「いかがですか? コハルさま」
心配そうに訊かれて、私はひっくり返らないよう気を付けてハンモックから下りた。
頭を振って、大きく深呼吸をする。
眩暈も、胃のムカムカも、手足の痺れもない。
「うん、いい感じ。ありがとう、メリー!」
「お役に立てて良かったのです~!」
思った通り、メリーの癒しの魔法は船酔いにも効くみたいだ。
あの気持ち悪さから解放されて嬉しくなった私はメリーを思いっきり抱きしめる。
「良かったな、コハル」
「はい!」
ソファに座ってこちらを見上げるリューに私は大きく頷く。
と、腕の中から低い声が聞こえてきた。
「それで、コハルさま。なんでこいつがここにいるのですか?」
「え? あ、あ~……」
どう説明しようかと考えていると、メリーは私の腕から飛び出して小さなリューに向かって怒鳴った。
「しかもなんであの頃のクソガキに戻ってんだお前えぇーー!!」
「メリー! 声が大きい!」
慌ててしーっと人差し指を立てる。