再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
船内は常に波音やギィギィと船体の軋む大きな音が響いていて大丈夫だとは思うけれど、誰かに聞かれたらマズイ。
「俺は竜帝の弟だ」
「はぁあ~? おとうとぉ~~?」
柄悪く首を傾げるメリー。
「どう見たって7年前のクソ生意気な竜人族のガキだろうが!」
……やっぱりメリーは誤魔化せないようだ。
(というか、リューに向かってこんな失礼な物言いが出来るのメリーくらいだよも~)
ハラハラを通り越して最早諦めの溜息が漏れてしまう。
と、リューもほぼ同時に面倒そうな溜息をついた。
「そういうことになっている。コハルを守りたいなら付き合え」
その言葉にぴくりとメリーの小さな耳が動いた。
「コハルさまを守る?」
「そうだ。もし最悪、魔族たちと交戦するとなったら貴様だけではコハルを守れないだろう」
「メリーは癒しの魔法でコハルさまを」
「貴様の魔法も勿論必要になる。だが、コハルが傷付かないよう守ることは出来ないだろう」
「ぐぬぬ……」
メリーが悔しそうに呻く。
「わかったな。俺は竜帝の弟、リュークラウスだ」
「ぐぬぬぬぬ……」