再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「それと、不必要な接触も控えるようにしてください」
「不必要な接触とは?」

 ぶすっとした顔で訊かれ私は毅然とした態度で答えた。

「今朝の、額にキスとかそういうのです!」
「抱きしめるのは」
「ダメです!」
「……手を繋ぐのもダメか?」
「うっ」

 その懐かしい姿で、上目遣いでじっと見つめられるとどうにも弱い。
 結局、そのくらいなら問題ないかとOKしてしまった。

(あれはわかっててやってるのかな。それとも素?)

 どちらにしてもタチが悪いなぁと数日前のことを思い出しながらメリーとローサと共に甲板に出ると、先客がいた。

「カネラ王子、おはようございます」
「ん? ああ、おはよ~」

 船縁に肘をついて海を眺めていた彼がこちらを振り向いた。
 メリーがささっと私の背後に隠れる。
 王子はローサと挨拶を交わしたあとで私に訊ねた。

「今日は調子どう?」
「大丈夫そうです。ありがとうございます」
「なら良かった」

 彼は再び視線を海の方にやって、私もその隣に立って早朝の潮風を思いっきり吸い込んだ。
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