再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
砂漠の国が近くなってきただけあって、昨日あたりから気温がぐっと上がってきていた。
今はまだ水平線近くで赤く輝いている陽が昇ってきたら更に暑くなりそうだ。
砂漠の国は、7年前訪れた国の中で一番暑く、そして空気がとても乾燥していた。
その名の通り国の殆どが砂漠地帯であり、その中でも水と緑が存在している奇跡のような場所、オアシスで人々は生活していた。
カネラ王子たちが住まう王宮も、そんなとても美しい場所にあった。
(心配だよね……)
遠く見えてきた大陸の方をじっと見つめる王子を横目で見て思う。
自分の国が正体不明の何者かに攻撃されているのだ。心配でないはずがない。
――心配と言えば、もうひとつ。
カネラ王子のことでここ数日ずっと気になっていることがあった。
彼はこの船上でも、いつもひとりなのだ。
てっきり従者のひとりでも船にいるものと思っていた私は、流石に彼のことが心配になってきていた。
この船にはおそらく20人近くの乗組員がいて、その彼らと話しているところも見たことがない。
更に言えば、彼らが一国の王子様であるカネラ王子に挨拶をするような場面も一度も見ていなかった。
(7年前はお付きの人が何人かいた気がするんだけどなぁ)
――まぁ、俺は王子っていっても三番目だからね。
数日前の王子の言葉が蘇る。
(そういう問題なのかな)
「今朝は一緒じゃないんだ」
「え?」
カネラ王子は海ではなく私を見ていた。