再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
(でも、あと少し)
エアコンはないけれど、王宮は涼しかった覚えがある。
どちらにしても日が沈めばこの酷い暑さからは解放されるだろう。
もう少しの辛抱だと、私は前のめりに曲がっていた背筋をピンと伸ばした。
緑豊かな泉を中心に広がる王都に入る頃には、空は満天の星で輝いていた。
一気に気温が下がり今は少し肌寒いくらいだ。お腹に抱っこしているメリーが温かく感じられる。
メリーは王宮に着くまでは眠りませんと頑張っていたけれど、つい先ほど私の膝の間でこてんと寝てしまった。
(疲れたよねぇ。私も早くベッドに横になりたい)
王宮まで続く大通りをラクダに乗ってゆっくりと進みながら都の様子を見回す。
丸みのある白い壁の家々から漏れる明かりがとても温かく幻想的で、酒場と思わしき場所からは楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
ここだけ見ればとても正体不明の相手から攻撃を受けているようには思えなかった。
(砂漠の国と言っても広いし、大変なのは別の場所なのかも)
「カネラ王子様!」
(え?)