再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 そんな甲高い声が聞こえて視線を向けると、白い壁の家から数人の子どもたちが飛び出してきて私たちの前を行くカネラ王子の元に集まった。

「カネラ王子様、お帰りなさい!」
「お帰りなさいカネラ王子様ー!」

 子供だけじゃない。

「おーい、みんなー! カネラ殿下がお帰りになったぞー!」
「それは本当かい!?」
「殿下、良くご無事で!」

 人がどんどん集まって来て、瞬く前にカネラ王子は都の人たちに囲まれてしまった。
 ぽかんとそれを後ろから眺めていると、私たちの横に並んだローサが微笑んで言った。

「カネラ殿下は国民から好かれているのですね」
「……うん」

(なんだ、良かった)

 船ではいつもひとりでいるし結局ここまで護衛の一人も現れなかったから心配していたけれど、ただの杞憂だったみたいだ。
 カネラ王子は少し恥ずかしそうに、でも笑顔でそんな人々の相手をしていて、それを微笑ましく見つめていたときだ。

「せいじょさま?」
「え?」

 小さな声が聞こえた気がして視線を落とすと、姉妹だろうか女の子がふたり並んでラクダに乗る私を見上げていた。
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