再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「聖女サマのことは、また改めて紹介するから」
人々はその言葉に嬉しそうな声を上げた。
「じゃあ行こっか」
「は、はい」
カネラ王子に言われ、私たちは多くの人たちに見守られながらまた王宮への道を進み始めた。
(紹介って……なんか、思ってたのと違う方向でおおごとになってる気がするんだけど)
そっと後ろを振り返れば皆祈るように手を合わせて私たちを見送っていて。
「……気に食わん」
「え?」
そのときリューの声が聞こえた気がして前に向き直る。
「気に食わない」
もう一度繰り返した彼の顔は見えないけれど、その声音からぶすっとした顔をしているのがなんとなく想像出来てしまった。
「リューだって、皆に好かれてるじゃないですか」
ローサに聞こえないよう小さな声で言う。
……ちょっと、怖がられていたりもするけれど。
「そういうことではない」
「え?」
「……なんでもない」
何やらまた不機嫌になってしまったらしいリューに私は首を傾げた。