再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第59話
「おお! 聖女殿、ようおいでくださった!」
相変わらず目がチカチカとする黄金の宮殿の『王の間』に足を踏み入れると、これまた黄金の眩しい衣装を纏った『砂漠の王様』が嬉しそうに王座から立ち上がり私たちを出迎えてくれた。
以前よりも更に恰幅の良くなった気がする王様に私は頭を下げる。
「ご無沙汰しております王様」
「またお会い出来て嬉しいですぞ!」
そして王様の傍らに立つすらりと美しい王妃様がにこりと上品に笑う。
「遠いところをお疲れでしょう。今宵は王宮でゆっくり身体を休めてくださいな」
「ありがとうございます王妃様」
「宴じゃ! 皆の者、すぐに宴の準備じゃ!」
そんな王様の一声で王宮内は一気に慌ただしくなった。
本当はすぐにでも身体にこびり付いた砂と汗を洗い流して横になりたかったけれど、お腹が減っているのも確かだ。
でも宴を開く余裕があるのだと少しホッとする。
王様や王妃様の様子を見ても、やはりここ王都はそこまで逼迫した状況ではなさそうだ。
「護衛の者も遠慮なく参加するが良いぞ」
「身に余る光栄にございます」
私の後ろに控えていたローサが深々と頭を下げる。今は彼女がメリーを抱っこしてくれている。
そして王様の視線がその隣に立つ少年へと移った。