再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「なんだ、その格好は!」
「え?」

 浴場から出てきた私たちを見るなりリューが目を剥いて怒鳴り声をあげ、私は自分の格好を見下ろした。

「この国の衣装ですよ。とても涼しいんです」

 竜の城で着ていたドレスに比べたら確かに薄手の生地で身体の線が強調され胸元も大きく開いているけれど、年中暑いこの国ではこれが普通なのだからしょうがない。王妃様だって先ほどこれと同じタイプのドレスを着ていた。
 7年前は少し抵抗があったけれど、郷に入れば郷に従えだ。
 初めてこの衣装を着るローサは少し恥ずかしそうにしているけれど。 

「着ていた服はどうした」
「洗ってくれるというのでお願いしました。乾いたらすぐに着替えますよ」
「……その格好で宴に参加するのか?」
「しょうがないじゃないですか。ここではこれが普通なんですから」

 ぶすっとした顔で睨み上げてくるリューに笑顔で言う。

「皇子もお風呂に入ってさっぱりしてきてください。広くて気持ちいいですよ」
「俺はいい!」

 ふんと顔を逸らしリューは再びどっかりと腰を下ろしてしまった。
 ……まだ機嫌の直っていないらしい彼に私は小さく息を吐いた。

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