再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「だ、大丈夫です。昨日は、や、今朝? は、本当にご迷惑をお掛けしました。助かりました」
「大丈夫ならいい。もう行くぞコハル。流石に待ちくたびれた」
「え……っ!?」
顔を上げた瞬間、私は再び彼に抱き上げられた。
間近で金の瞳に見下ろされ、どきりと胸が跳ねる。
「さっきも思ったが、お前軽すぎないか?」
「だから気安くコハルさまに触れるなぁ~~!」
彼は再び突っ込んできたメリーを軽くかわすと、私を抱えたまま窓の方へと向かった。
「え、え?」
私が困惑していると、彼はティーアたちの方を振り向き言った。
「式の日取りが決まったら連絡を寄越す。では、世話になったな」
「えっ、ちょっと待っ――」
ティーアが焦った声を上げるのと同時、間近でバサリと妙な音が聞こえた。
見れば、彼の背中にドラゴンを思わせる大きな黒い翼が生えていて――!?
「しっかり掴まっていろ、コハル」
「えっ!?」
優しく言われて、私は慌てて目の前にある彼のシャツを強く掴んだ。
開いていた窓からバルコニーに出た彼は、トンっと軽く足元を蹴った。
(――え?)
バサリとまたあの音がして、気が付けば私たちは空に舞い上がっていた。
(うそおおおおおぉ~~!?)
メリーのよくわからない絶叫が聞こえてきた気がしたけれど、私は落とされないよう無我夢中で彼の首にしがみついたのだった。