再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第61話
「聖女サマ?」
呼ばれてゆっくりと目を開けると、不思議な色の瞳が私を見下ろしていた。
軽くウェーブの掛かった金髪がキラキラと輝いて見える。
「カネラ王子……?」
声をかけると、その表情が少しだけ緩んだ気がした。
――ああ、これは7年前の記憶だ。
襲ってきた魔物たちを倒すために私は聖女の力を使い、例によって気を失ってしまったのだ。
「魔物たちは?」
「おかげで全滅。……けど、聖女サマは平気なの?」
私はその言葉に小さく驚く。
そして緊張がゆるんだせいもあったかもしれない。私はふっと笑ってしまった。
「……なに?」
「あ、いえ、すみません」
……心配してくれたことが意外過ぎて、なんて言えるわけがない。
私は砂の大地に手を着いてゆっくりと起き上がる。
「私は大丈夫です。王子は怪我とかありませんか?」
すると彼の眠そうな目が少しだけ見開かれた。
「……なんで」
それは小さな小さな声だった。
「え?」