再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「なんで聖女サマはここまで……」

 そこで彼は言葉を切って口を噤むと、すくと立ち上がった。

「王子?」
「……聖女サマは、この国をどう思う?」
「え……?」

 突然の問いに私は目を瞬く。
 カネラ王子は広大な砂漠の大地を見つめていて、私も視線を風景に移す。
 そろそろ日が落ちる頃、真っ青な空と赤く染まった砂山のコントラストがとても美しくて。
 私はそれをそのまま口にする。

「とても、美しい国だと思います」
「……そう」

 その眠そうな横顔が心なしか誇らしそうに見えて、私はもう一度こっそりと笑ったのだった。





 ――ふに、と唇に何かが触れる感触で私の意識はゆっくりと浮上した。

(……?)

 もう一度、今度は少し長く触れていたそれがちゅっと音を立てて離れて、私はそれがキスだと気付く。

(リュー……?)
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