再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 不必要な接触は控えるようにと言ったのに。
 キスなんて、誰かに見られたらどうするんですか。
 起きてそう注意しなければと思うけれど、眠くて眠くてなかなか目を開けられない。

「ん~……」

 言葉で注意だけでもと思ったけれど、そんな掠れた唸り声しか出ない。
 身体が酷く重くて、寝返りを打つことも出来なくて。
 もしかして、私はまだ夢の中にいるのだろうか……?

「気がついちゃった?」

 そんな声が聞こえて、違和感を覚えた私は重い瞼を少しずつ上げていく。
 暗がりの中、私を見下ろす誰かがいる。

「リュー……?」
「……残念だけど、違うよ」

 ――!

 そのとき淡い光が差して、私を見下ろすその顔が浮かび上がった。
 金の髪が、今は透けて銀色に見えるけれど。

「カネラ、王子?」

 声に出して、私は一気に覚醒する。
 動かなくなったリューとローサ、そして笑顔の王様。
 酷い眠気に襲われて、その中で見た彼の姿。
 全てを思い出して、ドクドクと心臓が重く嫌な音を立て始める。
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