再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
魔族……?
そう、声に出したつもりだった。
でも喉がカラカラに乾いて、それは声になっていなかった。
そんな私を見て、彼は小さく笑ったようだった。
「俺は、一応この国の王子ってことになってるけど、王と魔族の母の間に出来た子なんだ」
「!」
彼はもう一度ベッドに腰を下ろして私を見下ろした。
そのとき彼の瞳が血のように真っ赤に染まっていることに気付く。
「だから、これまで王宮の中でも不遇の扱いを受けてきた。仕方のないことだと受け入れてきたし、別にどうでもいいと思ってた。……でもね」
冷たい指先で頬をなぞられてぞくりとする。
「聖女サマに出会って、全く関係のないこの世界のために命を懸ける姿を見ていて、その考えが変わった。俺も、聖女サマが美しいと言ったこの国のために、何かをしたいと思うようになった」
それは船の上でも少し聞いた話だ。
私の行動が彼を変えたのだとしたら純粋に嬉しい。
けれど、ならなんで……そう訊こうとして、彼は続けた。