再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「でもね、それでも、どうしても自分のこの血が足かせになるんだ。どう頑張っても、他の兄弟には並べない。……認めて、もらえない」
彼の赤い瞳が伏せられて、そのときふいに、王都で人々に囲まれ微笑む彼の姿が浮かんだ。
あれが、彼がこの国のために頑張ったという証なのだとしたら――。
「そんなときに、聖女サマがこの世界に戻ってきたって情報が飛び込んできた。嬉しかったなぁ」
「カネラ王子……」
「これはチャンスだって思ったんだ」
「……っ」
チャンス。その言葉にギリと奥歯を噛む。
「だから聖女サマ、俺のものになってよ」
頬に冷たい手が添えられて、その顔がゆっくりと近づいてくる。
「……私の力、知ってますよね?」
その声は格好悪く震えてしまっていたけれど、彼の動きはぴたりと止まった。
「知ってるよ。きっと俺なんて一発で消し炭だよね。……でも、俺は聖女サマが優しいことも知ってる」
そうして彼はもう一度笑った。
「聖女サマは俺を殺せない」