再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第63話
「やめてくださ……っ」
思うように動けないのに感触だけはちゃんとあって、無遠慮に触れられる度に身体が勝手に反応してしまう。
(こんなの、違う)
リューの手はもっと優しかった。
触れられて幸せだった。
(こんなの、全然違う!)
でも彼の言う通りだ。私に彼を殺すなんて出来ない。
この身にどんな理不尽を受けたとしても、私には人を殺めるなんて出来ない。
彼が魔族だとしてもだ。
それに彼は、7年前ほんの短い間だったけれど共に過ごした、この異世界で私を受け入れ信じてくれた、数少ない一人。
そんな彼を殺せるはずがない。
「これって、キスマーク?」
「……っ!」
胸元に残っていた痕をなぞられてカァっと顔が熱くなる。
おそらく竜の国を出る前夜に付けられたものだ。
「竜の国を離れてもう一週間になるのに、よっぽど強く付けたんだね」
「っ、こんなの間違ってます!」
私は精一杯彼を睨みつけて言う。