再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第64話
部屋の中がビリビリと震えて、カネラ王子も顔を上げた。
「なんだ?」
ドーン! と、もう一度地響きと共に大きな音がして、その中に悲鳴が混じっていることに気付く。
(なに……?)
流石にただ事ではないと思ったのか、カネラ王子は私から手を離しベッドから下りた。
解放された事と彼が魔族の姿から元の姿に戻るのを見てほっとして、でもすぐにまた轟音が響いた。
扉の方へと向かう王子の背中を目で追っていたそのとき、バンっと勢いよく扉が開かれた。
「コハルさまー!」
「コハル様!」
血相を変えて部屋の中に飛び込んできたふたりを見て私は歓声を上げる。
「メリー! ローサ!」
ベッドの上で動けなくなっている私を見て、ローサは手にしていた剣を躊躇いなくカネラ王子に向けた。
「王子殿下と言えど、返答によっては容赦しません。コハル様はご無事ですね?」
ローサに睨まれたカネラ王子は溜息を吐きながら両手を上げた。
「未遂未遂。あーあ、あとちょっとだったのにな」
「コハルさま! 今すぐにメリーが癒してさしあげますー!」
メリーが私の上で踊るようにくるくると回り、先ほどまでの重苦しさがスーっと消えていくのがわかった。
ベッドからゆっくり起き上がって、身体の自由がちゃんときくことを確認した私はメリーのふわふわボディを思いっきり抱きしめた。
「ありがとう、メリー」
「ご無事で本当に良かったのです~!」