再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

第65話


 その瞳を知っている。
 いつもすぐ傍で見ていたから。

 その金色を知っている。
 いつも、私をまっすぐに見つめてくれていたから。

「リュー?」

 もう一度呼びかけると、その大きな金の瞳が優しく細められて確信する。

 ――ああ、やっぱり。
 彼が、“竜”の姿となって私を助けに来てくれたのだ。

 嬉しくて、愛おしい気持ちが溢れて、そんな彼に両の手を伸ばした。

 でも。

「――りゅ、竜帝!?」

 背後で上がった裏返った声に、ぎょろりとその大きな瞳が動いた。

「ヒっ!」

 竜に睨まれ悲鳴を上げたカネラ王子は後退り、足がもつれたのかそのまま床に尻餅をついた。
 ゆっくりと首をもたげた竜が、そんな彼を見下ろす。
 その怒りに染まった金の瞳を見て、マズイと思った。

「リュー、待って!」

 だから私は咄嗟に、カネラ王子の前に出て大きく手を広げていた。

「私はもう大丈夫です! 大丈夫ですから、リュー」

 でないと、このままではリューがカネラ王子を殺してしまうと思った。
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