再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第66話
それから私たちは逃げるように宮殿を出た。
あのままあの場所にいても良いことは何もない。
カネラ王子には「彼を探しに行ってきます」とだけ言い残してきた。
けれど、彼は私が引っ叩いてからなんだかずっと呆然としていて、ちゃんと聞こえているのかどうかわからなかった。
(リューを追いかけなくちゃ)
でも分かるのはローサが見たという彼が飛んで行った方向だけ。
だから私たちはほぼ当てもなく、月明かりだけを頼りに夜の砂漠を進んでいた。
夜の砂漠は昼間とは打って変わって寒くて薄着だった私は先ほどの部屋から拝借してきたシーツを被り、メリーを湯たんぽ替わりに抱っこしながら歩いていた。
そんな中、メリーがあのとき何があったのかを話してくれた。
目を覚ますと、メリーは絨毯が敷かれただけの狭い部屋にいたのだそうだ。
リューとローサがその絨毯の上で寝ていて、私の姿がないことに不安を覚えたメリーはまずローサを起こそうとした。でもいくら呼んでも揺さぶっても目を覚ましてくれない。仕方なく、そのすぐ横で眠るリューを起こそうとしたが何をしても目を覚まさない。
さすがにおかしいと思ったメリーが試しに癒しの魔法をかけてみたところ、ふたりともすぐに目を覚ましてくれたのだそうだ。