再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 でもそのとき私を抱える腕に少し力が入ったかと思うと、いきなり視界が逆さまになった。

「……へ?」

 彼が宙返りをしたのだと気付いたのはその一瞬後で。

「ぎゃあああああーー!!」

 遊園地の絶叫系だって見ているだけで無理で一度も乗ったことのない私は酷い叫び声を上げてまた彼の首に抱きついていた。

「はははっ! 楽しいかコハル!」
「いやあああぁぁ~~~~!!」

 それからも彼はいきなり急旋回したりくるくる回転したり、私は勿論楽しいどころではなくひたすら絶叫を上げ続けた。



「すまん、コハル。ちょっと調子に乗り過ぎた。大丈夫か?」
「うぅ……っ」

(ちょっとどころじゃないです……)

 流石に私がぐったりしていることに気付いたのだろう、彼は無茶な飛び方をやめ申し訳なさそうに言った。

(見た目は大人になっても、もしかして中身はあの頃のリュー皇子のままなんじゃ……?)

 グロッキーになりながらそんなことを考えたときだった。

「コハルさまあぁぁ~~」
「え?」

 そんな甲高い声が聞こえたような気がした。
 顔を上げ後方を振り向くと、小さな雲みたいな白いもこもこがこちらに向かって飛んでくるのが見えて驚く。

「メリー!?」
「コハルさまぁ~~っ」

 ヘロヘロな様子で私の腕の中に飛び込んできたメリーはそのままぜぇはぁと息を弾ませた。全速力で追いかけてきてくれたみたいだ。
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