再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

 そうしてローサは立ち上がってくれて一先ずほっとする。
 でも彼女が酷く自分を責めているのが伝わってきて心配になった。

(リューだって一緒に眠ってたんだし、ローサを咎めるようなことはないと思いたいけど……)

 小さく息を吐いて再び歩き出すと、メリーが欠伸をするのがわかった。

「そういえば、メリーはなんで起きられたの?」

 いつも朝までぐっすりなのに。
 正確な時間はわからないけれど、夜明けまではまだ時間があるだろう。
 するとメリーは首を傾げた。

「ええと……あ~、そういえば、誰かに呼ばれたような気がしたのです」
「誰か?」
「はい」

 あの宮殿の中で、私たち以外でメリーを呼ぶ者がいるとは思えない。おそらく今回の件は王様も含め皆グルなのだろうから。

(なら、誰が?)

 少しの間沈黙が流れて、でも今はそれどころではないと首を振る。

「リュー、どこに行っちゃったんだろうね」

 星空を見上げて小さく呟く。

 以前、あの目をした彼は竜の城の塔に籠ってしまった。
 でも今ここは砂漠の国で。
 
(まさか、竜の国に帰っちゃった?)
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