再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
……いや、そんなことはないはずだ。
例え誤解があったとしても、姿が変わってしまっても、私たちを置いてひとりで帰ってしまうような人ではないと、思いたかった。
しかし、このまま夜が明け日が昇ればまたあの暑さが戻ってきてしまう。
昨日とは違い、水分も何も持ってきていない。
無謀なのはわかっているけれど、今足を止めるわけにはいかなかった。
(暑くなる前に、街とかオアシスが見つかるといいんだけど)
「おーい」
そんな声が聞こえた気がして振り返ると、ローサも背後を振り返っていて。
目を凝らして砂山の向こうに見えてきたのは。
「カネラ王子!?」
「聖女さまー」
こちらに大きく手を振りやって来るのはラクダに乗ったカネラ王子だった。