再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第67話
「なんで……」
呟くと同時、ローサが剣の柄に手をかけるのを見た。
「コハルさまを追ってきたのでしょうか……?」
腕の中のメリーも威嚇するような低い声を出した。
(まさか、私を連れ戻しに?)
つい先ほどの恐怖を思い出して、メリーを抱っこする腕に少し力がこもってしまったかもしれない。
……逃げた方がいいだろうか。
でも気付く。
彼が、他に2頭のラクダを連れていることに。
「良かったぁ、すぐに見つかって」
私たちの元に辿り着いたカネラ王子はそう言いながらラクダから下りた。
「何のおつもりですか。コハル様を連れ戻しに来たのなら」
剣に手を触れたまま、鋭い視線を向け訊いたローサにカネラ王子はふるふると首と手を振った。
「違う違う。だって竜帝を探しにいくんでしょ。道案内するし。ラクダも使ってよ。日が昇ったらまた暑くなるから」
先ほどの呆然した姿は見間違えだったのかと思うほどいつもの調子で話す王子に、ローサが困惑するように眉を寄せ私の方を見た。