再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
「大丈夫? メリー」
「なんだお前、追いかけてきたのか」
呆れたふうに息を吐いたリューを、メリーは恨みがましい目で睨み上げた。
「オマエみたいな無礼な竜人族に、コハルさまを任せられるかぁ~~」
……やっぱりメリーは彼のことを良く思っていないようでハラハラしてしまう。でも。
「ふん、勝手にしろ」
彼は興味なさそうに前に向き直った。
「見ろコハル、海が見えてきたぞ」
「え?」
そちらを見れば、緑の丘の向こうに真っ青な海が見えた。
「わぁ……っ」
傾きかけた日に反射しキラキラと輝く海はそれはそれは美しかった。
リューが徐々に高度を下げていくと、風が一気に潮の香りに変わった。
白く大きな海鳥たちが私たちに並ぶようにして飛んでいく。
先ほどの気持ち悪さが一気に消し飛ぶ爽快感だ。
「この海を越えれば我が竜の帝国だ」
そう言われて気付く。
以前この世界に来た時には、彼の国まで大きな帆船で移動したのだ。
想像した以上に揺れる船に、思いっきり船酔いしてしまったことを思い出す。
あのときは確か数日かかったけれど。
「日が落ちるまでには城に着きたいからな、少し急ぐぞ」
「えっ、あ、はい!」
私は返事をしながら、ぐったりとしているメリーが吹き飛ばされないようその身体を強く抱きしめた。