再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第69話
水と食料を分けてもらい、日が沈んでから私たちはその村を出発した。
「オアシスを経由して行くから少し日数かかっちゃうけど、いいよね?」
カネラ王子にそう言われたら頷くしかなく、そのまま私たちは日中オアシスで休み、夜間にラクダで砂漠を渡るという旅を続けることになった。
夜はやっぱり寒いくらいだったけれど、昼間の暑い中を進むよりは確かに体力の消耗が抑えられる。
それでもそんな昼夜逆転の旅は想像以上にキツかった。昼間休むと言ってもぐっすりと眠れるわけもなく、夜ラクダの背に揺られながらついうつらうつらしてしまって危うく落ちかけ、後ろのローサに度々心配をかけてしまった。
野盗も出た。そんな時はローサがすぐに追い払ってくれたけれど、彼女も顔には出さないけれど相当疲れているはずで、自分の無力さが情けなくて申し訳なかった。
(これで、もしその『竜の洞』にリューがいなかったら……)
そんな考えが脳裏に浮かんでは頭を振って「きっといる!」と自分に言い聞かせた。そうでないと心が折れてしまいそうだった。